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【書評・読書記録】青が破れる (町屋良平)

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町屋良平『青が破れる』

町屋良平『青が破れる』

町屋良平『青が破れる』

『青が破れる』あらすじ

ボクサー志望の主人公は、毎日通うボクシングジムで才能溢れる梅生とスパーリングを重ね、自分の才能と実力のなさを痛感し浮かない日々。

 

ある日、友人のハルオから余命が迫り先が長くない彼女の見舞いに一人で行くように頼まれる。病室に行くと、友人の恋人であることを忘れるように距離が縮まる。

 

一方で、彼は夫子がいる恋人、夏澄とは背徳感と窮屈さによって徐々にすれ違っていく。 主人公の私生活の苦悩と、生と死の境にいる友人たちを描いた青春小説。

 

『青が破れる』感想など

身近に才能溢れる人がいるが故に自己肯定感をもてず、人からボクサーと呼ばれることを拒んでいる主人公。

 

私生活では、好きになっても幸せになることができない人を好きになり、その事実に直面した時に苦悩する。

 

ことの重大さは大きく違えど、公私ともに満足できていない様子がなんとなく自分と重なって久しぶりに近い感覚で感情移入できる物語でした。

 

彼女が重い病気にある中なのに、主人公に対しては絶対に弱さや悲しみを見せず、その場を楽しませる(自身の感情を紛らわす)ために突然、池に落ちて見せたり、それでも一人になると実は……。という状況。

 

そして、何より生と死の境にいるハルオの彼女は誰よりも生命力に満ち溢れていて、まっすぐ強か。

 

主人公への共感とハルオと彼女の強かさ。現実と理想が入り混じったような内容。

 

少しだけ(少しだけが大事)前に進めるような感情昂ぶる作品です。 比較的、短いお話なので読みやすいと思います。

 

おすすめです。ぜひ!