【書評・読書記録】不屈 (辻仁成)
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辻仁成『不屈』
物語ではなく、2012年から2014年までこ日常を綴った日記エッセイ。
作家・映画監督・ミュージシャンなどなど、様マルチに活躍する辻さん。
自身につけた肩書は”表現者”
そんな表現者である辻さんが、息子さんの成長を見守る様子や、パリと日本の生活の違いなど、様々なことを綴っています。
フランスの学校に通う息子さんと、日本で生まれ育ってパリへ生活の拠点を移した辻さんの文化と言語の違いについての論述が非常に面白かったです。
フランスの学校教育を受けている分、家では日本語を使うことを心がけている辻家。
2つの言語文化に所属しているということは、単純に2つの言語を使用できることにとどまらず、それぞれの国に特有のしきたりや歴史を背負っている。それゆえに、物事を自然と2つの言語で考えることができる。
おそらくこのようなことは頭の中で自覚して、それぞれの言語と文化を棲み分けているわけではないであろうものの、生まれながらにして、豊かさを抱いていることについて非常に羨ましく思いました。
生まれながらのバイリンガルになりたい!!(不可能な話)
そして、もう1つ興味深かったのは、辻式小説の心得。
辻さんが小説を書く際に必要な心得が全60個。惜しみなく書かれています。
いくつか引用すると….
・劇的な場面はさらっと書け。逆に、その前後は執念と執着で書け。
・なんだろう、なんだったの?と疑問が残る作品を目指す。
・主人公に感情移入し過ぎないこと。冷静と情熱のあいだで。
辻さんの何でもない日常の中に生きるヒントが隠されている、何気ないときに自分を支えてくれるバイブルになるような一冊です。
毎日少しずつ読み進めるのがオススメ。
#不屈 #辻仁成 #読書記録
オススメ度:★★★★★(満点!!)